魚じゃありません。宮崎の甘い赤飯「にぼし」
宮崎県の「にぼし」って聞いたことがありますか? 魚と思うでしょう。ところが違うんです。九州山脈の奥にある秘境「米良(めら)」地区に、昔から伝わるスイーツ。農作業の合間に食べ継がれてきた郷土料理です。「米良(めら)」は私の夫?司(つかさ)のふるさと。司が「お土産だよ」と言って、姑が作ったという「にぼし」を持ち帰っても、最初はその名前と見かけで、手もつけないという感じでした。世の習いのように、姑への複雑な感情もありますので。ところが、ふとした事でそれを口にしたところ、それは、それはおいしい! 姑さん、もとい。お母さんのつくったこの「にぼし」を、世に出さなくてはもったいないと心の底から思いまして、さっそくレシピを聞き出し、試作を重ね、甘みを押さえた「にぼし」を完成させました。-----------------<材料>あずき 1合、ウズラ豆 1合、栗(ないときはサツマイモ)、もち米 2合、砂糖 200g、塩 少々<作り方>(1)あずき、ウズラ豆は水洗いし、3倍量の水とともに2時間くらい置く。その後圧力鍋で炊き、沸騰したら弱火で3分。これで固めに豆が煮上がります。(2)もち米は30分ほど水につけ、ざるにあげておきます。(3)栗は渋皮もすべてむいて、半分に切っておきます。(4)炊飯器に(1)をいれ、その上に(2)と(3)をのせ、豆の煮汁でひたひたにして炊きます。(5)炊きあがったら、砂糖と塩をいれ、豆や栗がくずれないように混ぜ、再度スイッチをいれます。-----------------これでおしまい。できあがったら、おいしく見えるように上手に器に盛ってください。花の形の和菓子の木型にいれると上品な感じに仕上がります。「にぼし」の名前の由来を母から聞きました。その昔、砂糖はめったに手に入らない貴重品の時代。サツマイモや里芋を煮て、干したものを、農作業の合間に食べて疲れを癒していたそうです。蒸して干せば固くなりますが、煮て干せば柔らかくておいしく、日持ちもするとか。稲刈りの季節には、それをアズキと一緒に炊くという、今の「にぼし」に近いものをみんなで食べていたそうです。栗や、もち米、砂糖をいれるようになったのは、高度成長期以降かもしれませんね。米良地区のお母さん達にとっては、栗ではなくサツマイモの入った「にぼし」こそが愛着のある「にぼし」。こちらもぜひ試してください。【「オーガニック農家のごはんレシピ」シュシュ編集部×百草園】
魚じゃありません。宮崎の甘い赤飯「にぼし」