895人分の致死量…青酸カリ含む毒物1キロ盗まれる
古河電気工業の日光事業所(栃木県日光市清滝町)の倉庫から、青酸カリを含む毒物のシアン化金カリウム1100グラム(約280万円相当)が盗まれたと7日、事業所の所長(55)が日光署に届け出た。事業所によると895人分の致死量があるという。同署は窃盗容疑で捜査を始めた。
日光署などによると、盗まれたのはシアン化金カリウム100グラム入りの瓶11本。昨年12月28日に男性従業員が倉庫内を確認した際に異常はなかったが、今月5日に別の男性従業員が点検したところ、なくなっていた。
倉庫には瓶33本が保管されていたが、残り22本は無事だった。従業員で事業所内を捜したが、見つからなかったため、7日に届け出た。倉庫は施錠されており、2本ある鍵の紛失はなかった。倉庫の扉に、こじ開けられたような跡もなかった。
シアン化金カリウムはメッキ加工などに使用される毒物で粉末状。
記者会見した事業所の担当者は「倉庫内にはさらに強い毒物もあった。1100グラムのうち金の分量は約750グラム。電気分解すれば取り出せるので、金が目的だったのではないか」と話した。