栗山英樹氏が斎藤を直撃!プロ初キャンプ、その本音は?
第1クール3日間を終えた。果たして今の状態は?3日目にランニング量が少ないという理由で早出でグラウンドを走るなど、練習のペースに戸惑いもあるのかと思い、ちょっと声を掛けてみた。すると明るい表情で何とも前向きな答えが返ってきた。
斎藤 体の準備は万全で、もういつでも行けるという状態。走る量がイメージよりも減っていたので(3日目に)走りましたけど、体はケガなくいい感じです。だから、とにかく早く打者の反応を見てみたい。自分のボールに対して(プロの)打者がどんな反応するのかを見たいんです。
まずはこの言葉を聞いて安心した。早く何かをしたい――。実はそういう状態が野球選手には一番いい。ちょうど野球少年が早く学校が終わってグラウンドに出たい、と思うのと同じで、最も上達する期間でもある。練習量を抑えて逆に「やりたい」と意欲を持たせる日本ハムの方針にうまく乗っており、これなら実戦へスムーズに入っていける。ただ、実戦でつくっていくタイプの斎藤にはもうワンステップが必要な段階でもある。
斎藤 今はフォームは気にしていません。(軸足の)膝に力をためるとか、内側から力を伝えるとか、無意識にできています。でも、無意識に投げたとき(いつもなら)全てのボールが低めに集まるのに、集まらない。その辺はこれからだと思います。
体とイメージにギャップがある。体は使える状態でもブルペン投球はまだ1回(2日)。普通は体の仕上げと実戦を並行していくが、今は体が先行している。だから無意識に投げても低めに集まる球がバラつく。吉井投手コーチからも第2クールから「そこを上げていく」と言われているようで、本人も自覚しているから心配はない。
練習中に気づいたことがある。ダルビッシュから学び取ろうという貪欲な姿勢だ。投内連係のとき、ダルビッシュが見事なターンで二塁けん制すると、斎藤はその場でターンをまねるしぐさを見せた。「あっ、見てました?」。そう言って笑ったが、1メートル96の大きな体をどう使って素早くターンするのか?学ぶ意識を常に持ってるからついまねしてしまう。
斎藤 ダルビッシュさんはトレーニング、食事を含めてあらゆることを勉強している。サプリの名前なんかも全て分かってますから。ウエートトレーニングとか教えてもらってますが、いろいろ学んでいきたい。
けん制のまねに象徴されるように、いいものを取り入れようという意欲も斎藤の魅力の一つ。今は身近にこれ以上なく素晴らしい教材がいる。キャンプが進み、実戦に入っていく上でプラスになるのは間違いない。
声を掛けたとき、何とも言えない表情を見せたのは「疲れた?」の質問に対してだ。疲れたのは体ではなくて…。
斎藤 本当に気疲れしました。マスコミが多いのには慣れているんですけど、自分が入って周りに迷惑を掛けてはいけないので。ただ、練習は自分の中(ペース)でやりやすいです。こういう環境でやらせてくれるチームに感謝してます。
キャッチボールで自分のペースで距離を延ばしていけるなら、投内連係も一つのプレーを確認しながらできる。きょう5日からの第2クールでは体とイメージを一致させることがテーマ。実戦登板へどうつくっていくのか楽しみになった。 (スポーツキャスター)