悲鳴 散乱するランドセル 暴走クレーン車 惨劇にただ泣くばかり
18日朝の通学路に惨劇が広がった。栃木県鹿沼市の国道で、小学生の列に暴走したクレーン車がセンターラインを越え、突っ込んだ。小学校近くの現場はランドセルが散乱、救急車やレスキュー隊が集まり騒然とした。
現場は、児童らが通う鹿沼市立北押原小学校の目の前にある片側1車線の国道。車道と歩道の間には、高さ約20センチの縁石がある。
散歩中に目の前で事故を目撃した鹿沼市の男性(54)によると、事故直前、多数の子どもたちが一列で歩いていた。
突っ込むクレーン車。「キャー」という叫び声。子どもが建物の方へはね飛ばされた。クレーン車は「バリバリ」という音を立てて、さらに建物に突っ込んだ。「ドーン」。地震のような音が響いた。「助けて」という叫び声も。
事故直前。男性は、擦れ違いざまクレーン車の運転席を見た。運転手はハンドルを抱きかかえるように下を向いていたという。
クレーン車は和久井かよさん(80)方建物に突っ込んで止まった。和久井さんは、ものすごい音と、ガラスが割れる音がして家の外に出た。表に出ると、子どもが立ちすくんで泣きわめき、ランドセルが散乱していた。
近くに住む別の男性(51)は、大きな音で事故に気付き、自宅2階から現場を見た。クレーン車に巻き込まれた子どもの脇で、駆け付けた教員らしき大人が携帯電話で119番していた。
星野杏弥君(10)が運ばれた病院によると、星野君は8時48分に死亡が確認された。家族らが駆け付けたが、みな状況を受け止められない様子で泣いていたという。
近くの木工所経営の男性によると、クレーン車は子どもをはね、歩道に数メートル間隔で立っていたポールもなぎ倒して建物に突っ込み、車道まで砂ぼこりが舞い上がった。
「子どもたちは班をつくって、目の前を毎日楽しそうに学校へ通っていた。かわいそうだ」と声を詰まらせた。
近所の建築会社で働く女性は「歩道もあり、危険な道だとは思わなかった。亡くなった子どもたちや親御さんは気の毒です」と気遣った。