懸命の救出作業…小学生ら52人、津波からの生還
被害が拡大する中、海上自衛隊などの懸命の救出作業が続いた。
海上保安庁によると12日午前5時半ごろ、海上自衛隊のヘリコプターが宮城県石巻市の石巻港内のがれきの中で横倒しになるなどしている貨物船2隻を発見した。大津波で造船所から流された2隻で、建造中の貨物船「トリパン」号は横倒しになっており、81人の作業員が船内に残されていた。その近くには、同じく建造中の貨物船「サイダージョイ」号が浅瀬に乗り上げて座礁し、作業員31人が取り残されていた。
海自のヘリはすぐに海保のヘリと連絡を取り合って、共同の救出作業を開始。トリパン、サイダージョイの順で、船上にヘリからワイヤを降ろし、作業員を金具で固定して次々と引き上げていった。1機が作業員を引き上げている間に、もう1機が宮城県内の病院などに搬送し、給油を行う連携プレーで全員を迅速に救助した。作業員らは一晩、船内に閉じ込められたままだったが、大きなケガ人はいないという。
一方、青森県八戸市役所によると、同市の八戸港で地球深部探査船「ちきゅう」内に取り残された小学生ら52人を、海自のヘリが救助した。救出されたのは、同市の中居林小学校の児童48人と教諭4人。11日に「ちきゅう」に体験乗船して地震に見舞われ、安全のため接岸を見合わせていた。救出活動は12日午後に始まり、津波が襲う中、船内で一夜を過ごした児童らは船上のヘリポートに着陸したヘリに、手をつないで一列になり落ち着いた様子で乗り込んだ。八戸基地まで運ばれ、全員無事に救助されたという。
また、防衛省によると、航空自衛隊のヘリが、宮城県気仙沼市の孤立集落など数カ所に取り残されていた98人を救助。宮城県警によると、県警と警視庁のヘリが、仙台湾沿岸を走るJR仙石線の野蒜―東名間(東松島市)で脱線し、山側に流されていた列車(4両編成)から乗客ら11人を救出した。