愛 五輪切符へ白星発進「一本一本を大事に」
「サー」という掛け声が響いた。内容は決して良くない。初戦突破にも「思ったよりも動けなくて、納得いかない」と歯切れは悪い。それでも闘志あふれる姿に大会にかける思いがにじんだ。
午前中に混合ダブルスを2試合こなしていたが「3種目全てで悔いの残らない試合をしたい」と集中した。ユニホームには「WASURENAI 3?11」の文字。被災地の状況を思えば気を緩めるわけにはいかない。女子シングルスのロンドン五輪出場枠は2。今大会後の世界ランクの日本勢上位2人に与えられる。世界ランク7位の福原は現在日本人最上位だが、入れ替わる可能性もある。「五輪出場がかかっている試合でもあり、日本が苦しい状況ですし、一本一本を大事にいきたい」。言葉通り魂のこもったプレーを続けた。
リュックサックには折り鶴が入っている。フランスの知人からもらったものに糸を通し日本復興への願いを込めている。「いつもより強い気持ちがある」。故郷仙台のためにも福原は負けない。