エレファントカシマシ宮本が語る、新曲に込めた思い
デビュー20年のエレファントカシマシが、昨年秋から快調だ。レコード会社移籍後のシングル第1弾「俺たちの明日」がヒット、年始に出したアルバム「STARTING OVER」は多くの新規リスナーを獲得した。さらにシングル2枚を経て、10月に新曲「新しい季節へキミと」を発売する。従来とは趣を異にする前向きポップ路線が続くが、作詞作曲?ボーカルの宮本浩次は紆余曲折を経ていまなにを思い、世に歌を届けているのだろう。「長く同じメンバーでバンドを続けている間に、レコード会社をクビになったり、『解散かな』なんてことも、まあ、あったわけですが、いろんなことを経て、『俺たちの明日』という、正々堂々と歌える歌が作れたことがまずデカいです。そして確かにそれからというもの、僕らの曲が、ゆっくりと、ゆっくりとですよ、届き始めているという実感はあります。ありますが、ダーッ!とこう一気に広がったというのでもない。なにかみんなが、このベテランに、期待をしてくれている。『誠実さと力強さを兼ね備えた人たちだ』という捉え方をしてくれている。そういう感じはいたします。身が引き締まる思いです、ホントに」今回の新曲も、昨秋からの流れにのり、明るく、ポジティブだ。「やっぱり誰もが、前向きな思いを喚起してくれるものを聴きたいし、作りたいと思っている。ただ、誰だって、いつも『さあ行こうぜ!頑張ろうぜ!』という気持ちなわけではなく、“憂いの季節”もあるわけです。今回の歌詞でいえば、『俺しか知らない明日へ今すぐ飛んで行けるはず』(なんだけれども、ま、しかしどうなんだろう…)みたいな。そういう、人生にはいろんな“時期”がある、という思いで歌っております」18年前、エレカシは「豚に真珠だ貴様らに 聞かせる歌などなくなった」(「男は行く」)と歌った。このバンドにそんなイメージを抱く人も少なくないだろう。「いや、ヒットを狙いまくってるんです、信じられないことに(笑)。20年前のファーストアルバムから狙いまくってます。僕は、大衆性のある、“紋切り型”なものってすばらしい、と思っておりますし、ずっと、非常にポップなテーマを歌っているつもりです。それがストレートに届く時と届かない時があるのは、麻酔がなぜ効くのかわからないのと同じくらい、わからない。その模索が、エレファントカシマシの、僕の、歴史だということです」