町が消えた…東日本に国内最大Ｍ８?８大地震
「ゴーッ」というすさまじい音。その直後「ドーン！」と突き上げるような強い縦揺れと横揺れが東北地方を襲った。
多くの建物が音を立ててきしみ、天井が落ちる施設も。路面に走る亀裂、黒煙を上げて燃える工場…。「むちゃくちゃです」。広い範囲で人々がパニックに陥り、恐怖に顔をひきつらせた。
宮城県庁では大きな地震を予告するチャイムが鳴った直後、縦揺れと横揺れが１０秒近く続いた。ファイルや資料が次々と落下し、恐怖で泣き叫ぶ職員も。「すぐに避難してください」と叫ぶような館内放送が流れ、廊下は開いたスプリンクラーで水浸しになった。
宮城県登米市の職員は「大きな揺れがきたので、みんなで庁舎の外に避難した。今も余震が続いて地面にもひびが入り、パニックに近い状態だ」と緊迫した様子。同県栗原市の道の駅「路田里はなやま」の従業員の兵頭志津子さん（４９）は「強い縦揺れが続き、立っていられなかった」と悲痛な声を上げた。
青森県から茨城県にかけての沿岸部には、１０メートルを超える大津波が発生。宮城県気仙沼市の海岸では、大きな船や住宅、工場のタンクが流され、町ごと濁流にのみこまれた。沿岸にある木造家屋はほとんどが流され、なくなってしまったという情報もある。
宮城県警によると、太平洋に面した仙台市若林区荒浜で、津波に巻き込まれ死亡したとみられる２００人以上の遺体が見つかった。ＮＨＫによると、１００人前後が乗った船が津波で沖に流されているという。
岩手県警によると、大船渡市内で中学生２３人を含む４８人が津波で行方不明になっている。福島県では南相馬市の老人福祉施設「ヨッシーランド」が倒壊。十数人が建物の下敷きになり、このうち５人の死亡が確認された。白河市でも土砂崩れにより住宅が押しつぶされ、８人が生き埋めとなっている。
宮城県利府町の大手スーパー「イオン」では天井が落下。６歳の子供が死亡し、母親も重体。茨城県高萩市でマッサージ店の屋根が崩落し、女性客が死亡。青森、秋田の全域、宮城と山形のほぼ全域、福島の一部の計４５０万世帯が停電している。
Ｍ８?８の地震のエネルギーは６０００人以上が犠牲になった阪神大震災（Ｍ７?３）の約１８０倍。一方、米地質調査所の解析では、今回の地震はＭ８?９。１９００年以降に発生した世界の大地震は、１９６０年にチリで発生したＭ９?５が最大で、今回のＭ８?９は５番目の規模にあたる。