慣例を初めて破ったメッシ 驚きの発想と卓越した技巧の価値評価
驚きの発想と卓越した技巧でファンを魅了するメッシの受賞は、プレーそのものの価値を見直すサッカー界の原点回帰の表れとも受け取れる。
バロンドールが選考対象を欧州出身選手以外にも広げた1995年以降、同賞とFIFAの最優秀選手は、ワールドカップ(W杯)開催年は必ず優勝国で最も活躍の目立った選手が受賞してきた。昨年のW杯で8強止まりだったアルゼンチンのメッシは、その慣例を初めて破った。
現代サッカーのトップ選手は、陸上の短距離走者のように鍛え抜かれた肉体が資本だ。走力と接触プレーでの強さがなければ生き残れず、足技の優れた選手が埋もれるケースも多い。メッシは身長169センチだが、素早いドリブルと予測不能なプレーで大型DFを手玉に取る。
メッシは昨季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)で得点王に輝いたが、準決勝で敗退した。それでも受賞できたのは、投票者たちがタイトル獲得だけにこだわらず、サッカー界に夢を与えた功績を高く評価したからだろう。(共同)