日馬富士 恩師と5年間は綱を張り続けることを約束
最も大きな字で自分のしこ名が書かれた番付表を眺めても、第70代横綱が満足することはない。これから目指すのは長期政権、いわゆる大横綱の境地だ。この日の会見で日馬富士は「全身全霊、一日一番、悔いがないように相撲を取るだけ。結果は後からついてくる」と具体的な目標は一切口に出さなかった。だが、恩師の草山清和?出雲大社相模分祠長は「秋場所後に横綱と“5年間は綱を張る”ということを約束しました」と明言した。
幕内平均体重が160キロという重量化時代の中で、新横綱は最軽量の133キロ。ケガと背中合わせの小さな体ゆえ、ある協会幹部が「1年もつかどうか」と漏らすなど厳しい声も聞こえてくる。だが、当の本人は「頑張って上を目指している体のできていない小さな子供たちに勇気と希望を与えていきたい」と軽量横綱という誇りを胸に最高位を維持することを宣言。116キロだった82年秋場所に最軽量横綱となった千代の富士はケガをしない強じんな体をつくって10年弱も綱を張り続けた例もあるだけに、まずは横綱在位5年、30場所という数字を目標に掲げたわけだ。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱?旭富士)も「年齢的にもまだまだ強くなれる」と背中を押すとともに「とにかく勝つことが大事。九州場所も千秋楽結びに横綱同士で全勝対決してくれたら」と常勝を期待した。今後は稀勢の里が所属する鳴戸部屋などに出稽古して調整する方針。「福岡の宿舎の環境は本当にいい。アラとフグもたくさん食べたい」。大好きな九州の地で3場所連続全勝優勝を果たし、大横綱に向けての第一歩を踏み出すつもりだ。