響き渡る“辞任コール”「ムバラク死ぬまでデモやめない」
「このまま大統領宮殿へデモだ。ムバラクが死ぬか、われわれが死ぬまでデモはやめない」。ムバラク大統領の即時辞任を期待して、10万人超のデモ隊がテレビ演説を見守った10日夜のカイロ中心部タハリール広場。大統領職にとどまる意向が示されると「辞めろ」との大合唱が、海鳴りのように響き渡った。
辞任が濃厚との見方が広がっていただけに、デモ隊の「新しいエジプトの誕生」という期待は一瞬にして猛烈な怒りへと変わり、大統領宮殿を警護する治安当局との衝突も辞さないとの不穏な空気が一部で広がった。
広場では演説の数時間前に「大統領が近く辞任」とのうわさが広まり、仲間と抱き合い、涙を流す人の姿もあった。それだけにテレビ演説の内容は期待との落差が大きく、多くの参加者がアラブ社会で最大級の侮辱とされる靴底をかざすしぐさで敵意をむき出しに。失業中のアハマドさん(22)は「腐敗した政治を変えるまで広場に残る」と声を張り上げた。(共同)