細野首相補佐官 福島原発1号機の冠水断念表明
細野氏はフジテレビやNHKの番組に出演。1号機でメルトダウンに伴い圧力容器の底に穴が開き、注いだ水が漏れているとみられ、外側の格納容器からも建屋などに漏水している恐れがあることを受けて、「冠水は難しい。冠水で(結果的に)水を海に流すことがあってはならない」と指摘。「やり方を変えないといけない」と述べた。
第1原発の事故処理において、原子炉の冷却は最重要作業。東電が先月17日に示した工程表では、6~9カ月で1~3号機の原子炉を冷やし安定状態にすることを目標に、3カ月以内に行う具体策として冠水の実施を挙げていた。1号機の冷却方法については、全長約4メートルの燃料の上まで水がかぶるよう格納容器に水を満たし冷却することになっていたが、燃料は溶け落ち、原子炉建屋地下には深さ4メートル超とみられる大量の水がたまっているのが見つかった。
細野氏は「水を除染して原子炉に戻す大きなループを考える」と述べ、原子炉建屋のたまり水を循環させて冷却に使うシステムの構築を検討すると説明。炉心溶融については「事態は極めて深刻だが冷却そのものは順調だ。そういう状況が分かるようになってきたことも一定の前進だと理解してほしい」と強調した。
東電は冠水に代わる対策として、圧力容器の底に溶け落ちてたまっている燃料を覆う程度まで注水を続けながら、格納容器から漏れた水を取り出す方法を検討している。
細野氏は、17日、東電が1カ月の節目で発表する工程表の改定版と併せて、周辺地域の復旧や当面の被災者支援などの手順を盛り込んだ政府の「工程表」も公表することを言明。東電の工程表について「スケジュールは守りたい」と述べ、維持する意向を示した。
しかし、工程表の大幅修正は必至で、東電幹部は「場合によっては少し予定より遅れることはあると思う」とした。政府が工程表通りに進めば年明けに可否を判断するとしていた避難住民の帰宅時期も不透明になりそうだ。