裏技 水面下工作は苦手 枝野官房長官 調整力に疑問符
内閣の要のポストを４６歳の若さで担っている枝野幸男官房長官が四苦八苦している。「ねじれ国会」で菅政権を浮揚させる道筋は描けず、官房長官にとって不可欠な党や各省との調整能力への疑問符は消えていない。民主党内からも「官邸は機能不全」（幹部）と酷評する声が漏れ、当分は試練の日々が続きそうだ。
「内閣を取り巻く事態に、ああいう風なガードがしっかりできるようにしたい」。枝野氏は１月３１日、サッカーのアジア?カップ決勝戦で好セーブを連発したゴールキーパー川島永嗣選手に触れ、自らも菅内閣を死守する決意を語ってみせた。
政権自体の失点が続いており、攻めより守りを重視せざるを得ないというのが実情のようだ。自衛隊を「暴力装置」と発言するなど物議を醸した前任の仙谷由人代表代行とは対照的に記者会見では安全運転が目立つ。
政府筋は「国会答弁も仙谷氏より安定している」と評価するが、その分「陰の首相」とまで呼ばれた仙谷氏と比べると存在感が薄い印象は否めない。民主党きっての論客として鳴らし、本来は強いはずの発信力も眠ったままだ。
枝野氏は、２０１１年度予算案と関連法案の成立に向けた野党との折衝についても「官邸が主導した方がいい」と周囲に自ら乗り出す意欲を語っている。しかし、野党と折り合いをつけるのに必要な裏技や水面下での工作が不得意なのは党幹事長時代に実証済み。民主党では「枝野氏の出番はない」との声が多い。
１日には国民新党の亀井静香代表から野党との連携に早めに見切りをつけ、衆院再可決に必要な「３分の２」議席確保を急ぐようたきつけられる始末だった。