茨城沖の魚、水揚げ拒否も…「悪いのは原発」
同船は、4日午前に波崎漁港を出港し、キンキ、ボタンエビ、ヒラメなどを取って銚子漁港に向かっていたが、途中で入港と水揚げを拒否するとの連絡があり、波崎に戻った。「きょうは自粛してほしい」などと告げられたという。この件について銚子漁港の漁協は「担当者がいないので、詳しいことはお答えできない」とした。
はさき漁協関係者は「銚子漁港では、安全性が確認されるまで茨城沖の魚の取り扱いを見合わせる、としていた。混乱をまねくので見合わせてほしいとのことだった。しかし、第五松丸は高濃度の放射性物質が検出される前日に海に出てしまっていたので、その要請を知らなかった」と説明。その上で「断ったと言うと、銚子漁港が悪いようだが、違う。悪いのは原発だ。汚染水の流出に銚子も船も振り回されてしまった」と強調。「調査をして高い放射性物質が出るのも怖いが、今後、大丈夫なものも(水揚げや出荷を)ダメと言われるのも怖い」と放射性物質と風評被害の両方に不安を募らせた。
?コウナゴ漁禁止に…?コウナゴは漁協の依頼で茨城県の検査機関が分析した。他に検査した7種類の魚は、不検出か基準値を大きく下回ったものの、地元漁協は県の自粛要請を受け、コウナゴ漁に限って県内全域で禁止することを決めた。
茨城県内の11漁協の組合長らはひたちなか市で対応を協議。「このままでは海が駄目になる。東京電力は早く流出を止めろ」と小野勲対策本部長は声を荒らげた。小野本部長によると、ヒラメに従来の3分の1程度の値段しか付かないなど既に風評被害が出ている。
問題のコウナゴが水揚げされたのは北茨城市の大津漁港。隣の平潟漁港に水揚げされたコウナゴからも、約4000ベクレルの放射性ヨウ素が検出されている。大津漁協の男性職員は「対応が遅れた東電に責任がある。1カ月や2カ月では元の海に戻らない」。コウナゴ漁をしている北茨城市の渡辺誠さん(53)は「今が稼ぎ時なのにこれからどうやって生活したらいいのか」と途方に暮れた。