積立金不足何と3660億円…70万人に年金減額の恐れ
サラリーマンらが加入する厚生年金基金のうち51の基金で、国の代行で管理、運用している厚生年金の積立金計約3660億円が不足していることが28日までに、厚生労働省の調査で分かった。51基金のほとんどが経営が厳しい中小企業で構成されていることから、穴埋めは難しく、最大約70万人が将来、約束された額の年金を受け取れない恐れがあるという。
近年の世界的な株安傾向で、年金の積立金の市場運用が赤字になったことが、積み立て不足に陥った原因。51基金は必要な準備金の残高を3年連続で下回り、運営が極めて困難な状態とみられる。
積み立て不足を解消するためには、企業自ら穴埋めするか、資産運用で大きなもうけを出すしかないが、中小企業にそれほどの体力は残されていない。穴埋めできなければ、基金は解散、あるいは破綻に追い込まれる。その場合に、企業年金は支給されず、国に代わって管理していた厚生年金部分についても、減額となる恐れもある。
基金を構成する企業が自助努力で補てんできなければ、将来的には税金を投入することにもつながりかねない。
厚労省によると、厚生年金基金は約600で、現役世代の加入者と年金受給者は約700万人。51基金の加入者と受給者の合計は約70万人で、1割を占めている。