福島第1女性職員が被ばく限度超え 国の基準の3倍以上
東京電力は27日、福島第1原発で働いていた50代の女性社員1人が、3月11日の東日本大震災発生後に17?55ミリシーベルトの放射線量を被ばくしたと発表した。女性の放射線業務従事者について国が定めた被ばく線量限度「3カ月で5ミリシーベルト」の3倍以上となっている。
女性は医師の診察で健康に影響がないことが確認されたという。福島第1原発には女性社員がほかに18人おり、このうち2人は同様に限度を超えた恐れがあるとみて東電は詳しく調べている。東電は、3月23日に同原発構内から女性社員を退避させ、それ以降は作業させていない。
経済産業省原子力安全?保安院は27日の事故対策統合本部の席上、東電に原因究明と是正策を求めた。東電福島支店は同日の記者会見で「管理を厳密に行わなければならなかった。認識が甘かった」とした。
東電によると、女性は屋外での消防ポンプ車への給油業務や、免震重要棟内での作業に従事。これらの作業による外部被ばくは計3?95ミリシーベルトだった。ほかに13?6ミリシーベルトの内部被ばくがあった。
女性はマスクを着けていたが、周囲の空気中の放射線量が高く、放射性物質がマスクの隙間から入ったり、マスクの着脱時に吸い込んだりした可能性があるという。
東電は3月22日から女性社員らの内部被ばく線量を順次測定。今回の女性の被ばく線量は4月27日に分かったと説明している。
放射線業務従事者の通常の被ばく線量限度は「5年間で100ミリシーベルトを超えず、かつ、年間50ミリシーベルトを超えない」と定められている。ただ胎児への悪影響を考慮し、妊娠の可能性がある女性については3カ月で5ミリシーベルトという限度が設けられている。一般人の被ばく線量限度は年間1ミリシーベルト。